当スタジオのボイトレメソッド解説
VoiceerF Method解説その1「声帯と周囲の筋肉への注目」
VoiceerF Methodでは、声帯について深く注目しています。
人間が出す声の元は、のどの中にある「声帯」という2枚のヒダが高速で振動することによって作り出しています。
例えば高い声、低い声、大きい声、小さい声、柔らかい声、固い声など・・・
どういう声が出るかというのは、「声帯がどういう状態をしているか」によって決まってきます。
つまり声帯の形を自分が出したい声の状態に作ることが出来ればその声が出せるし、
もしその形を作れていなければその出したい声はどうやっても出せないのです。
ではその声帯を動かしているのは一体何なのでしょうか?
答えは筋肉です。
のどの中の喉頭の細かい筋肉が声帯を動かしているのです。
従来のボイストレーニングではのどに意識を置くというのは良くないこととして考えられていましたが、VoiceerF Methodではのどに意識を置くことでそれらの細かい筋肉の操作を自由にしていこうという狙いを持っています。
ピアニストが指の一本一本が自由に動かせるように指を鍛えていくように、
ボイストレーニングで声帯を動かしている筋肉、そして声の質や響きを作っている共鳴腔や舌に関わる筋肉を鍛えていきます。
ピアニストやギタリストが楽器に触れている「指」に常に細かい意識を持っているように、声を扱うシンガーやボイスユーザーは「声帯」という楽器があるのどに細かく意識を持っていくべきだ、という考えに至るのはごく自然なことだと考えられます。
効率良くのどの筋肉を動かすことが出来るようになれば声の出方はその分自由になります。
のどの筋肉を意識的に動かせるようになるための繊細なコツを教えながら、出来るだけ楽に、そして柔軟で自由な発声を目指してボイストレーニングを行っていきます。
VoiceerF Method解説その2「神経系への注目」
VoiceerF Methodの大きな特徴の一つとしては、
呼吸や発声に関係する筋肉に対して注目しているだけでなく
それらの筋肉を操る神経の発達という部分にも注目している点です。
ボイストレーニングにおいて何か発声に問題がある場合というのはそこに行き着く様々な原因が考えられるのですが、同じように見える問題であってもその原因によってベストな対処法というのは細かく変わってきます。
原因のいくつかのケースに対しては呼吸や発声の筋力という部分へのアプローチで大きく改善することもありますが、実際のケースを見ていると喉頭などの発声器官を動かしている筋肉の運動神経の命令伝達に問題がある場合もとても多かったりします。
基本的に人間の筋肉というのは神経の命令があって初めて動くものなので、その命令が上手く伝わらなければ思い通りに筋肉が動かず、結果的に声のコントロールは上手くいきません。
それらの原因に対して神経の伝達改善に特化したVoiceerF Method専門トレーニングを行うことで、通常のボイストレーニングよりも効率良くレベルアップが見込めます。
神経の発達により発声器官の筋肉のコントロールや可動性が大きく高められるのです。
トレーニングメニューを開発する上で最も気をつけていることが3つあります。
「安全であること」
「効果が出やすいこと」
「そのトレーニングを行う難易度が易しいこと」
この3つへのこだわりが、VoiceerF Methodのトレーニング効果が出やすい理由なのです。
VoiceerF Method解説その3「脳への注目」
もう一つの特徴として、VoiceerF Methodでは神経の発達だけではなく人間の脳の部分にも着目しています。
脳というとボイストレーニングではまだ馴染みがないのでピンと来にくいかもしれませんが、
「音感の問題」
「リズム感の問題」
「音楽的センスの問題」
簡単に言うと、これらは基本的に全て脳の認識や記憶から起こる問題です。
音感やリズム感に問題がある人というのは、それらの情報が頭の中でうまく記憶出来ていないケースが多く、また、歌のセンスというのも音楽的に優れたものの音声の記憶や認識がどれだけ正確に頭にインプットされているかが重要となります。
そしてさらに人間の体にある全ての筋肉に対して指令を出しているのも脳なので、上記のような音楽的な問題だけでなく発声の問題にも脳は大きく関わってきます。
このように、脳の何かしらの改善が必要な「歌、発声の問題」というのは様々にあるのですが、それらの問題に対して脳の仕組みを理解しながらトレーニングを行うか、それとも何も知らずにトレーニングを行うかでは、その後に出てくる効果がまるで変わってくるのです。
VoiceerF Methodでは脳や神経系の仕組みや原理に沿ってトレーニングメニューを構成しているので、より効果の出やすいレッスンを受講者の皆様に提供することが出来ます。
VoiceerF Method解説その4「聴覚フィードバックへの注目」
VoiceerF Methodでは聴覚フィードバックにも注目しています。
全てのスポーツや楽器演奏は
レベルの高いパフォーマンスをしようとすればするほど
自分の行っているそれが良いものなのか悪いものなのかという微細な判断が求められます。
それと同じく良い発声や良い歌を作るためにも
自分の出している声や歌っている歌が良いものなのか悪いものなのか、
もし良くないとしたら具体的に何がどうなればもっと良いものになるのか、
それらを細かく判断出来る耳と音楽的センスが必要になります。
特に大切なのはそれが「声を出しながら常に正しく判断出来る」ということです。
発声に大きく関わる喉頭の筋肉というのはとても細かく体感が難しいため
その体の感覚だけで正確な音色、声量、音程を出し続けるのは不可能で、
いつでも正確な発声や歌唱をするためには
必ず自分の声を聴きながら微調整や修正を加えなければいけません。
これは脳の中では
「発声」→「声の認知」→「イメージとの比較と修正」
これらを常にお繰り返す高度な動作となります。
ただ歌っているだけではこの能力は身に付きにくいのですが、
VoiceerF Methodは聴覚フィードバックの重要性を理解し
ボイストレーニングやボーカルトレーニングを通して
効率良くフィードバック能力を鍛えていくためのアイデアを豊富に持っています。
これにより通常よりもずっと短期間で声や歌の飛躍的なレベルアップが可能となります。
VoiceerF Method解説その5「呼吸からの特別なアプローチ」
VoiceerF Methodでは呼吸を用いたエクササイズも行います。
発声や歌を勉強している方にとって呼吸に対する考え方は様々だと思いますが、歴史的な面から見ても、科学的に見ても、呼吸は発声に関わる重要な要素の一つであることは間違いありません。
当メソッドのトレーニングでは「呼吸法の練習」や「お腹から声を出す」といった指導とは少し違い、喉頭や共鳴腔、舌、口蓋などの筋肉をリラックスさせて発声や歌唱をよりしやすくする目的で、呼吸を使った特別なアプローチを行っています。
喉頭科学を深く理解した上で、呼吸のエクササイズをどのように行うと最も発声に有効なのか、そしてどのようにすると最も歌唱で活かせるのかを考えてメニューを構成しています。
呼吸のエクササイズの最も大きな利点は、全く声を出さずに、つまり声帯に全く負担をかけずに発声や歌唱を良くしていくことができるという点だと思います。
これを効果的に用いていくことで、受講者は通常よりも短期間でより安全に発声を伸ばしていくことができます。